腸内環境・常在菌・善玉菌

腸内細菌がヒトの遺伝子を操作する

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腸内細菌は、ただの菌?
では、ございません。
ということは、
ゲノム解析が可能になって、その力が次々に明らかになっていますが、なんとヒトの遺伝子操作まで?
そうなんです。
私たちの体の平和と秩序を保つための免疫細胞の働き。
正常で適正な免疫反応にとって、超重要な遺伝子のスイッチを操作するということが明らかになっています。
そして、それには日々の食事から摂取する食物繊維も大変重要ということも。
アレルギーや自己免疫疾患、腸の炎症性疾患などの解決の糸口になるかもしれません。

体の平和は、免疫細胞Tregによって保たれている。

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免疫といえば、体を外敵から守る働きで「戦士」のイメージがあるかもしれませんが、暴れるばかりが能じゃありません。
戦士ばかりでは、外界と接している人の体は常に戦争状態。
そうなってしまっているのが、常に炎症を起こしている重症のアレルギーや炎症性疾患の人の体の状態とも言えます。
ですが、正常な状態ではそうではありませんね。
これだけ外界にさらされながらも、静かな状態を維持しています。
それが、戦士を落ち着かせ、平和と秩序を守る平和維持部隊「制御性T細胞=Treg(Tレグ)」の役割。
戦士たちの過剰なアレルギー反応・免疫反応を抑制します。
彼らは、戦士たちの燃えたぎる戦いの魂を必要な時に落ち着かせます。

戦士たちは、外敵を必要なときに攻撃しながらも、十分にやっつけた後は、落ち着きます。
そうでなければ、罪のない人たち(正常な細胞)までをも戦火で焼いてしまいます。
また、外界からの訪問者に対しても、食物などの安全な外来抗原に対しては攻撃せず、味方として受け入れることができます。
この自分にとって必要なものは攻撃しない働きを「免疫寛容」といいます。
Tregの寛容さがあってこそ、私たちの体は平和でいられるのです。
彼らがいないと、安全なはずの食物などの外来抗原や、自分自身の体の部分までをも攻撃し、アレルギーや自己免疫疾患を引き起こすことになってしまいます。
Tregは、血気盛んな戦士たちを束ねる指導者のようです。

腸内細菌は、未熟者を指導者に成長させる

指導者である賢いTregも、元々は未熟な免疫細胞から成長したものです。
未熟な免疫細胞(未熟なT細胞)にある遺伝子のスイッチを押し、指導者Tregに成長させる為の大役を果たしているのが、なんと腸内細菌であり、食物繊維であるということが明らかになりました。
単なる菌。
単なる草。(男性ってよく、野菜を草っていいますね。)
なんて、バカにしないでいただける?って怒られてしまうかも。

理化学研究所・東京大学・慶應義塾大学先端科学研究所の共同研究によると、
酪酸産生菌に分類される主要な腸内細菌のグループが食物繊維から産生した酪酸が、体内に取り込まれて未熟な免疫細胞に作用し、Tregの分化誘導に重要なFoxp3遺伝子の発現を高め、Tregへの分化(成長)を促進している事が明らかになりました。

遺伝子自体は、不変のものですが、くっつけている「飾り」によって、その振る舞いが変化します。
これが以前にもお話した遺伝子の振る舞いを後天的に変えることができる「エピジェネティックスな変化」です。

  • 食事中の水溶性食物繊維が、腸内の酪酸産生菌によって酪酸に変化する。
  • 酪酸が、未熟な免疫細胞(未熟なT細胞)の遺伝子のヒストン脱アセチル化を促進することで、エピジェネティックスな変化が起こる。
  • Foxp3遺伝子の発現がONになる。
  • Tregへの分化が誘導される。

先天的に持っている遺伝子の振る舞いを、食事の内容によって後天的に変えられるということです。
酪酸菌は、クロストリジウム目に属し、誰もが持っている腸内のメジャーなグループです。
ですが、エサになる食物繊維が十分にこない状況では、ひもじくなって勢いが弱ってしまいます。
野菜や海藻、食べなきゃまずい!
元気にするには、エサを与えなければなりません。
だから、食生活が健康にとって重要なのですね。
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クローン病や潰瘍性大腸炎のような自己免疫性の炎症性腸疾患の患者では、腸内の酪酸産生菌が少ないことが分かっています。

酪酸産生菌は処方も可能なので、
私の場合、アレルギー反応が過剰な患者さんや腸内フローラ検査で酪酸産生菌が少ない患者さんには、プロバイオティクスとして酪酸産生菌を処方しています。
同時に、その餌になる水溶性食物繊維、そしてオリゴ糖を摂取するように食事指導しています。
食養生は古典的な方法ですが、研究の進歩によって古の知恵に回帰する時代ですね。

腸内フローラ検査:MykinsoPro
酪酸菌の保有率や種類の特定も可能。
MykinsoProでは、自分の腸のタイプや保有する菌全てが解析できます。

 

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